
環境を変えることは 自分を変える大きなチャンス
黒住 龍彦さん(岡山県)
令和6年度卒業生 / 文系×陶芸デザインコース
令和6年度卒業生 黒住龍彦さんの保護者
オープンスクールへは子どもが中学2年の頃から足を運び、私1人で行ったのも含めて5回ほど訪れました。コースが多く毎回楽しくて、何度でも行きたくなったんです。訪れる度に学校の雰囲気の良さを肌で感じることができました。事務の方の丁寧な対応や先生方の優しい言葉がけからも、本当に親身になってくださっていることが伝わり、安心感が増していきました。
とはいえ、子どもの気持ちはなかなか分からず、心配することもありました。それでも、急かさずに、機が熟すまで、彼のペースで答えが出るまでグッと堪えて待ちました。
さまざまな選択肢がある中、「きっと環境を変えた方がいい」という親子の見解は一致し、入学を決めました。ただ、寮生活は未知の世界で、不安がなかったわけではありません。
最初の帰省の時にどんな反応が来るだろうかと思っていたら、車に乗ってドアをバンッと閉めた途端に「くっそ楽しい!」と開口一番。その発言を聞いて「うわ、良かった〜」と、涙が出るほど嬉しかったです。聞けば、むしろ寮から自宅に帰るのが寂しいぐらいだったみたいで……ひとまず、胸を撫でおろしました。
でも今になって当時のことを一緒に振り返って話してみると、入学して新しい環境に慣れるまでいろいろな葛藤はあったようです。彼が頑張れた理由として、ひとつは本人が覚悟を決めて、ここに来たことが大きいと思います。そして何より、子どもが萎えそうな時に、さらっと声をかけてくれたり、放っておいてくれたり、励ましてくれたり……。近くにいる先生方、寮母さんが親身になって寄り添ってくださったからだと思います。
寮生活を通して、彼はどんどん変わっていきました。まずは、自然と規則正しい生活が身に付いたことです。生活リズムが整ったのはもちろん、身の回りのことも自分でしっかりやるようになりました。
また、私との会話においても、以前は気持ちを全力でぶつけてきていたけれど、考えてから言葉にするようになりました。相手の意見を一旦受け止めて「ああ、お母さんはそう思うんだ、でも俺はこう思うんよ」と、こちらを慮るように言葉がけも優しくなりました。性格も生活態度も、いいところがすごく伸びたと感じます。
離れた生活に寂しさはありましたが、定期的な帰省があるので、私もそれまで頑張ろうと思えました。環境を変えたことで子どもだけでなく、親も一緒に大きく成長させてもらったと思っています。
中学の途中から授業に出ることが減り、学力も落ちていたと思いますが、KIBIに入学してからは、メキメキ前向きに取り組むようになりました。学び直しも含めて参観日で垣間見たわかりやすく工夫された授業のおかげではと感じます。毎回のテスト結果を見て「この子はこんなに頑張るんだ!」と意欲の高さに驚いたものです。
また、「これやってみる?」「あれに挑戦してみる?」と、先生から活躍の場を与えてもらえたようです。彼の場合は、イベントの看板やパンフレットの表紙デザインを担当させてもらいました。きっと、それぞれのお子さんに合った形で可能性を引き出すように、“一人ひとりを丁寧に見てくださる学校”なのだと思います。
受験においても、さまざまな角度から手厚く支えてくださいました。時には鋭い言葉をかけてくれる先生もいれば、ポジティブな視点を示してくれる先生もいて、その両方のバランスが結果的に大きな成長を促してくれたと感じます。持ち上げるだけではなく、改善点をしっかり伝えながらも、前向きな方向へ導いてくれる。そうした環境が、最後まで諦めずに取り組む力に繋がりました。
中学生の段階で「将来どう進むのか決めなさい」と言われても、なかなか難しいですよね。だからこそ、幅広い選択肢がある吉備高原学園高校は、とても魅力的だと感じます。
国公立大学進学を目指すコースから、マンガ・アニメーション、陶芸デザイン、情報システム、英語、被服・調理などの専門的に学べる、全10コースが用意されています。さまざまな分野に触れられる環境の中で、自分で体験したり、友達が取り組む姿に刺激を受けたりすることで、「これ、自分に合っているかも」と気づけるチャンスがあるかもしれません。
大学進学のみを重視する普通科の高校に進むと、その先は大学へ進学するのが当たり前、という流れになりがちです。「自分はどうしたいのか」という気持ちが育つ前に、曖昧な気持ちのままで進学しても途中で辞めてしまう人も少なくないと聞きます。
10代のうちに少しでも自分の「好き」や「興味」を見つけやすい環境があることは、将来を考えるうえでとても大切なのではないかと感じています。
情報にあふれた環境から離れ、友人とも濃密に過ごし、先生や職員の方々、先輩、後輩、これほど多くの人と身近に関わることができた時間は、大変貴重で、人生の中での大きな“財産”を頂けたように感じます。
子どもは、昼夜問わず3年間寄り添ってくださったユニークでフレンドリーな先生方を“身近な大人”としても、とても尊敬しています。この環境での出会いは、彼にとってきっと一生の宝物になると思います。
もう一つの高校と悩んでいた時も、急かされることなく「最終的には自分で決めなさい」と。自分のことを信頼してくれていると感じてありがたかったです。かと言って無関心というわけではなく、必要な時は惜しみなくサポートしてくれます。そのおかげで、高校卒業後の進路も自信を持って、自分の意思で決めることができました。
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