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通信制高校のメリット・デメリット|後悔しないための選択肢と自分に合う学びの見つけ方

これまで一般的であった全日制高校とは違う選択肢として、新しい環境を求める生徒の中で通信制高校が注目されています。

通信制高校の「自由な学習スタイル」は確かに魅力的ですが、一方でその自由さが逆に不安や孤独感につながる可能性もあります。学業や友人関係、生活リズムの確立といった面で、より安定したサポートを必要としている方も少なくないでしょう。

この記事では、通信制高校のメリットとデメリットを深く掘り下げ、客観的なデータに基づいてその実態を明らかにします。さらに、通信制の自由さに不安を感じる方のために、全日制や定時制との違い、そして「全寮制高校」というもう一つの有力な選択肢についても詳しくご案内します。本稿が、高校卒業資格の取得だけでなく、自信に満ちた未来へとつながる、あなたに最適な道を見つけるための一助となることを願っています。

通信制高校は、自由な学習スタイルが魅力的ですが、その自由さが逆に不安を感じさせることもあるかもしれません。学業や人間関係の面で、もっと安定したサポートを求めているあなたに向けて、通信制高校のメリットとデメリット、全日制との違いやその他の選択肢についてもご案内します。

通信制高校のメリット|なぜ多くの人に選ばれるのか?

通信制高校が多くの生徒に選ばれるのには、全日制高校にはない独自の魅力があるからです。ここでは、その主なメリットを4つの側面から解説します。

時間と場所の制約からの解放

通信制高校の最大のメリットは、時間と場所の制約がないことです。これは「自由な時間を大切にしたい人」だけでなく、「自由な時間が必要な人」、例えば、アルバイトや正社員として働きながら高卒資格を目指す人、あるいはプロスポーツ選手や芸能活動など、学業以外の活動に多くの時間を費やす必要がある生徒にとって理想的な環境です。

また、持病などで毎日の通学が困難な生徒も、体調に合わせて無理なく学習を進めることが可能ですし、家庭の都合で毎日の通学が難しい生徒の有力な選択肢にもなります。

自分のペースで学べる

他の高校形態と大きく違う点として、学習のペースを自分でコントロールできる点があります。学習は主に、郵送やオンラインで提出するレポート課題、インターネット教材、そして「スクーリング」と呼ばれる限られた日数の対面授業で構成されます。

自分のペースで学ぶことに重きを置きたい生徒にとっては良い環境と言えます。自ら学習の進度を設定する必要はありますが、得意な科目はどんどん先に進め、苦手な科目にはじっくり時間をかけるといった、個々の学力や興味に応じた主体的な学びが実現でき、自己管理能力を身につけることができます。

通学による心身のストレスがない

毎日の通学が不要であることも、大きなメリットです。特に都市部では、満員電車での通勤・通学が大きな精神的・身体的ストレスとなることがありますが、通信制高校ではその負担がありません。島しょ部に住んでいる、山奥に住んでいて、移動時間が大きな負担になるといったケースもあるでしょう。通学にかかっていた時間を、学習や趣味、休息など、より有意義な活動に充てることができ、生活全体の質の向上につながります。

多様な背景を持つ生徒が多く、人間関係をリセットしやすい

通信制高校には、中学卒業直後の生徒だけではなく、社会人経験者や一度高校を中退した人、あるいは不登校を経験した人など、非常に多様な経歴を持つ生徒が在籍しています。このような環境は、異なる価値観や経験を持つ人々との出会いを通じて、視野を広げる機会となるだけでなく、過去の学校生活で人間関係に悩んだ生徒にとっては新たな関係を築きやすいという利点があります。

全日制高校のような固定されたクラスでの濃密な人間関係とは異なり、スクーリングや学校行事など限られた時間での関わりが中心となるため、過度な同調圧力を感じることなく、自分らしい距離感で他者と接することができます。

学費が比較的安い傾向にある

経済的な負担が少ないことも、通信制高校が選ばれる理由の一つです。特に公立の通信制高校は、私立の全日制高校と比較して学費が大幅に安く設定されています。私立の通信制高校も、施設維持費などが抑えられるため、全日制に比べて学費が安い傾向にあります。

さらに、国の「高等学校等就学支援金制度」も利用できるため、家庭の経済状況によっては、実質的な負担をさらに軽減することが可能です。

通信制高校のデメリット|自由の裏に潜む落とし穴

通信制高校の自由な学習環境は多くのメリットをもたらす一方で、その自由さが故のデメリットも存在します。

高い自己管理能力が必須

通信制高校で卒業資格を得るためには、学習計画の立案、レポートの期限管理、そして学習意欲の維持など、すべてを自己責任のもとで行う「自由」があります。この「自由」は、裏を返せば「強制力のない環境」であり、高い自己管理能力が求められることを意味します。

自分のペースで学べることは良い面もありますが、時には「勉強をサボってしまう」「進みが遅くなる」などの心配が出てくることもあります。自分で計画を立てて勉強を進めることができるかどうかが、カギになります。

友人関係が築きにくく、孤立しやすい

全日制高校に比べてスクーリングの日数や学校行事が少ないため、生徒同士や教員との接点が限られます。これは、人間関係のプレッシャーが少ないというメリットの裏返しであり、友人を作ったり、悩みを相談したりする機会が乏しく、孤独感を深めてしまうリスクをはらんでいます。

特に、対人関係に不安を抱えている生徒にとっては、自ら積極的に働きかけなければ、誰とも深い関係を築けないまま卒業を迎えることになりかねません。高校時代に協調性やコミュニケーション能力を養う機会が少ないことは、大学進学後や社会に出てから、新たな環境に適応する上でのハンディキャップとなる可能性もあります。

学習・進路・生活面のサポートが限定的

通信制高校は、あくまで高校卒業資格の取得を主目的とした教育システムであり、全日制高校のような包括的なサポート体制が整っていない場合があります。

学習サポート

レポートで分からない点があっても、すぐに質問できる環境は限られます。学習の遅れは、レポートの提出が滞って初めて発覚することが多く、手遅れになりがちです。

進路サポート

大学受験対策は基本的に個人の努力に依存します。文部科学省の調査によると、令和5年度の大学等進学率は、全日制・定時制が60.8%であるのに対し、通信制は24.1%※1 と大きな開きがあります。これは、通信制には多様な進路を目指す生徒がいることも一因ですが、受験対策サポートが十分でない学校も多いことを示唆しています。

※1 学校基本調査 / 令和5年度 初等中等教育機関・専修学校・各種学校 卒業後の状況調査 卒業後の状況調査票(高等学校 通信制)

生活・心のケア

生徒の生活リズムの乱れや精神的な不調を学校側が積極的に把握し、介入する仕組みは乏しいのが現状です。こうしたサポート体制の限定性が一因となり、通信制高校の中途退学率は4.0%と、全日制高校の1.1%に比べて高い水準にあります。※2 自由な環境が、結果的に卒業という目標達成を困難にしているケースが少なくないのです。

※2 文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査査結果について」

通信制のデメリットが不安なら、他の選択肢を考えてみよう

通信制高校のメリットに魅力を感じつつも、デメリット、特に自己管理や孤立、サポート不足といった点に強い不安を覚える方もいるでしょう。もしそうであれば、無理に通信制を選ぶ必要はありません。自分に合った環境で学び、成長していくための選択肢は他にも存在します。

あなたが本当に求めているものは?―自己分析から始める高校選び

進路選択で最も大切なのは、「どの学校に入れるか」ではなく、「自分が成長するためにどのような環境やサポートが必要か」を考えることです。以下の項目を参考に、自分自身のニーズを分析してみましょう。

  • 学習面:決まった時間割や先生の指導がないと、学習計画を立てて実行するのは難しい?
  • 生活面:朝決まった時間に起きるなど、規則正しい生活リズムを作る手助けが必要?
  • 人間関係:一人で過ごすよりも、サポートのある環境で少しずつでも友人と交流する機会が欲しい?
  • 環境面:これまでの人間関係や環境を一度リセットし、全く新しい場所で再スタートしたいという気持ちがある?
  • 家族の視点:学習、生活、心のケアまで含めた包括的なサポート体制がある方が、本人だけでなく家族も安心できる?

これらの問いに「はい」と答える項目が多いほど、通信制高校の自由な環境よりも、より手厚いサポート体制を備えた学校が適している可能性が高いと言えます。

高校の選択肢は一つじゃない|多様な学びの形

高校の形態は、全日制と通信制だけではありません。多様なニーズに応えるため、様々な学びの形が用意されています。

定時制高校 夕方や夜間に授業を行う学校で、働きながら学びたい生徒に選ばれてきました。近年では昼間部を設置する学校も増え、多様な背景を持つ生徒を積極的に受け入れています。
サポート校・技能連携校 これらは通信制高校に在籍する生徒を支援する機関です。サポート校は学習塾のように学習支援やメンタルケアを行い、技能連携校は専門技術の習得を目的としています。ただし、これら自体は高校ではないため、別途通信制高校への入学が必要です。
学びの多様化学校(不登校特例校) 文部科学省が指定する学校で、不登校の生徒の実態に合わせた特別な教育課程を編成することが認められています。 そして、もし「学業に集中できる環境」や「親元・地元を離れた場所で心機一転学びたい」という気持ちが強いのであれば、全寮制高校が非常に有力な選択肢となります。

全寮制高校という選択肢|環境を変えて、新しい自分と出会う

通信制高校のデメリットとして挙げられた「自己管理の難しさ」「孤立」「サポート不足」といった課題を、環境そのものを変えることで解決するのが全寮制高校です。

全寮制高校と全日制・通信制高校との違い

それぞれの学校形態が持つ特徴を比較することで、全寮制高校の独自性がより明確になります。

特徴 全日制高校(通学) 通信制高校 全寮制高校
学習スタイル 教室での一斉授業 自宅学習・レポート中心 教室での授業+寮での学習サポート
生活リズム 家庭に依存 自己管理に依存 学校・寮による規則正しい生活
人間関係 クラス・部活動中心 限定的・オンライン中心 24時間共同生活
サポート体制 教科指導・進路指導中心 レポート添削・限定的な相談 学習・生活・心のケアを包括的に提供

全寮制高校のメリット|なぜ「環境を変える」ことが成長につながるのか

全寮制高校は、単に寝泊まりする場所を提供するだけではありません。生活そのものが教育の場となり、通信制高校では得難い多くのメリットをもたらします。

学業に集中できる環境

寮には規則正しい学習時間が設けられており、教員が宿直などで常駐し、学習指導や個別の相談に応じてくれる体制が整っています。生活面の管理が学校側にサポートされるため、生徒は学業に専念できます。

生活リズムの確立と心身の健康:

不登校や中退の要因として多く見られる「生活リズムの乱れ」 に対し、全寮制は根本的な解決策を提示します。決まった時間に起床・食事・就寝する共同生活を送ることで、自然と規則正しい生活習慣が身につきます。栄養バランスの取れた食事が提供されることも、心身の健康を支える上で大きな利点です。

深い人間関係の構築と協調性の育成:

寝食を共にすることで、生徒同士は一生涯の友人とも呼べる深い信頼関係を築く機会に恵まれます。人と接することが苦手だった生徒も、少人数の部屋での共同生活を通じて、他者とのコミュニケーションや協力、時には意見の対立と和解を経験し、社会で不可欠な協調性を育んでいきます。

自立心と自己肯定感の醸成:

親元を離れ、身の回りのことを自分で行う寮生活は、自立心を養う絶好の機会です。洗濯や掃除、時間管理などを自分で行い、仲間と協力しながら問題を解決していく経験は、「自分にもできる」という確かな自信、すなわち自己肯定感の向上に直結します。

全寮制高校のデメリット|知っておくべき注意点

多くのメリットがある一方で、全寮制高校には知っておくべき注意点もあります。

規律と共同生活:
集団生活を円滑に送るため、寮には門限や外出に関するルールなどが定められています。自分のペースで自由に行動したい生徒にとっては、窮屈に感じられる可能性があります。

親との距離とホームシック:
親元を離れて生活するため、日常的なコミュニケーションが減り、特に最初のうちは寂しさや不安を感じる「ホームシック」になることもあります。しかし、これは教員や寮の仲間からのサポートを受けつつ、自力で乗り越えるべき課題であり、今後の社会人生活でも必要になってくる能力とも言えます。

費用:
寮費や食費などが加わるため、一般的に通学制の高校よりも費用は高くなる傾向があります。ただし、学校独自の奨学金制度や国の就学支援金制度が利用できる場合も多いため、事前に確認することが重要です。

あなたにとって「最高の高校生活」とは?

高校選びは、今後の人生を左右する重要な決断です。通信制高校は、自分のペースで学べる自由さが大きな魅力ですが、その自由を活かすには高い自己管理能力と主体性が不可欠です。もし、学習の遅れや生活リズムの乱れ、友人関係の構築に不安を感じているのであれば、通信制のデメリットは大きな壁となるかもしれません。

大切なのは、単に卒業資格を得ることだけではなく、その先の人生を豊かにするための「生きる力」を育む場所を選ぶことです。学業や生活全般にわたる手厚いサポートを受けながら、同じ目標を持つ仲間と共に成長したいと願うなら、通信制高校以外の選択肢も検討する価値があります。それが、あなたにとって「最高の高校生活」を実現するカギとなるかもしれません。

吉備高原学園高等学校の全寮制― あなたの再スタートを全力で応援

公私協力型だからできる、手厚いサポート体制

本校は、岡山県と学校法人加計学園が協力して運営する、全国初の「公私協力方式」の高等学校です。これにより、公立学校としての安定性と信頼性に加え、私立の教育機関が持つ柔軟で専門的な教育プログラムを両立させています。この協力体制のメリットとして、グループの大学や専門学校への進学時に、入学金免除や特別推薦制度を利用できるといった具体的な進路支援も充実しています。

学習から生活、心のケアまで ― 全人教育が育む「生きる力」

吉備高原学園高等学校では、全寮制ならではの集団生活をとおして互いに思いやる心を身に付け社会に対応できる人間形成を養う「全人教育」を実践しています。

学習支援:
中学校の学習内容に不安がある生徒も安心して学べるよう、英語と数学では習熟度別のクラス編成を実施。一人ひとりのペースに合わせた「学び直し」からサポートします。

生活指導:
全寮制の利点を最大限に活かし、教員が寮に宿直して生徒と生活を共にします。規則正しい生活リズムの確立をサポートし、日々の悩みにもすぐに対応できる体制が整っています。

心のケア:
寮室(4~6人)での少人数の共同生活を通じて、自然な形でコミュニケーション能力や協調性を育みます。また、専門のカウンセラーも配置されており、生徒一人ひとりの心に寄り添う体制が整っています。

専門コース:
マンガ・アニメーション、クラフトデザイン、福祉ボランティアなど、多彩な専門コースを設置しています。好きなこと、得意なことを見つけ、それに打ち込む経験を通じて、学習意欲を喚起し、失いかけていた自信と将来への希望を取り戻すきっかけを提供します。

まとめ|まずは一歩踏み出してみませんか

進路選択に悩みや不安はつきものです。大切なのは、情報を集め、自分自身の目で確かめること。吉備高原学園高等学校では、学校説明会や個別相談を随時受け付けています。保護者の方のみの相談も歓迎しています。
資料請求やお問い合わせを通じて、まずは一歩、新しい未来への扉を開いてみてはいかがでしょうか。