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不登校でも成績はつく?通知表・内申点が心配なときに知っておきたい「成績評価」の考え方と学校との話し方

お子さんが学校に行けない日が続くと、まず生活や体調のことが気になります。同時に、少し落ち着いた頃にふと頭をよぎるのが「このままだと通知表はどうなるのだろう」「高校入試の内申点に響くのでは」といった成績評価の不安ではないでしょうか。

成績は将来を左右する“すべて”ではありません。ですが、現実として進路に関わる場面もありますし、保護者としては放っておけないテーマです。そこで本コラムでは、学習評価の制度的な枠組み(観点別評価・評定)と、不登校のときに成績評価がどう扱われ得るのか、そして学校とどう連携すると不安が減るのかを、できるだけ具体的に整理します。

成績評価は「出席の多さ」だけで決まらない

最初に大事な前提からお伝えします。成績評価は、本来「どれだけ学校に来たか」を点数化するものではありません。文部科学省の資料でも、学習評価は子どもの学習状況を把握し、指導の改善につなげるためのものだと整理されています。

ただし、学校に行けない期間が長くなると、先生が学習の様子を見取る機会(授業中の発言・活動、提出物、定期テストの受験など)が減り、結果として「評価の根拠(材料)」が集まりにくくなります。ここが、保護者の不安の正体です。

中学校の通知表はどう作られる?(観点別評価と評定)

観点別評価は「3つの観点」で見る

  • 知識・技能
  • 思考・判断・表現
  • 主体的に学習に取り組む態度

ここで誤解されやすいのが「主体的に学習に取り組む態度=性格や好き嫌い」ではない、という点です。文科省の議論でも、感性や思いやり等は観点別評価に馴染まず、評価の観点としては「主体的に学習に取り組む態度」として設定することが示されています。

つまり、先生の主観だけで決めるものではなく、授業・課題・学習への取り組みを根拠として判断する枠組みです。

観点別評価が、最終的な「評定」につながる

多くの学校では、観点別評価の結果とテストや提出物等を総合して、学期末や学年末に評定をつけます。評定のつけ方(配点の比率や、定期テスト・提出物・授業内活動の扱い)は学校ごとに運用差があるため、「うちの学校は何が重いのか」を早めに確認することが重要です。

不登校のとき、成績がつけにくくなる“本当の理由”

不登校が続くと成績が「下がる」のではなく、正確には「評価の根拠が不足しやすい」ことが起こります。たとえば次のような状況です。

  • 定期テストを受けられない(別室受験が難しい等)
  • 提出物が出せない/期限が守れない(体調・不安で着手できない等)
  • 授業内の活動(発表、グループ学習、実技など)に参加できない
  • 学校側が“配慮したいが、具体的に何をどう評価材料にするか”が整理できていない

また、文科省の調査では、不登校児童生徒について把握した事実として「学業の不振や頻繁な宿題の未提出」が一定割合で挙げられています。
「学習が遅れてしまう→ますます教室に戻りにくい」という悪循環が起きやすいのも、この領域です。

ここで大事なのは、成績のために無理やり登校させることではありません。評価材料を“別の形で”確保できる道を、一緒に探すことです。

欠席中の学習も「成績に反映できる」——最近の制度改正

2024年、欠席中の学習成果を成績に反映することが法令上明確化

近年、不登校が増加する中で、「教室外の学び」を評価につなげる流れが強まっています。文部科学省は、不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映する場合について、学校教育法施行規則の一部改正と告示を2024年8月に公布・施行し、趣旨や留意点を示しています。

ポイントは、「学校に通うことができなくとも、教育支援センターや民間団体、自宅等で学習を続けている努力」を適切に評価し、社会的自立を後押しする、という方向性が明確になったことです。
これは、保護者にとって非常に心強い変化です。

「出席扱い」と「成績評価」は別物。ただし連動しやすい

もう一つよく話題になるのが、ICT等を活用した学習活動を「出席扱い」とする取扱いです。文科省は2019年の通知を整理し、不登校児童生徒の状況に応じた支援の必要性を示しています。

また、ICT等を活用した学習活動を出席扱いとする際の留意事項(換算の考え方等)も示されています。
ここで注意したいのは、

  • 出席扱い=内申が自動で上がる、ではない
  • 成績評価=出席日数だけで決まる、ではない

という点です。

ただ現実的には、「学校外で学んでいる」「学習の記録がある」ことが、出席扱いの検討や成績評価の検討の両方で“材料”になりやすいのは確かです。ですから、欠席中の学びを整理して学校と共有することは、結果的に成績面の不安も軽くします。

家庭でできること:評価につながる「学びの証拠」を残す

不登校の期間に、保護者が一番困るのが「何をしたら評価につながるのか分からない」という点です。ここでは、学校側が評価の根拠として扱いやすい“学びの証拠”の例を挙げます(学校の方針により扱いは異なるため、必ず事前に相談してください)。

① 学習の記録(学習ログ)を作る

  • 学習した教科/単元
  • 学習時間(目安でOK)
  • 使った教材(学校教材、ワーク、オンライン教材など)
  • できたこと/つまずいたこと

これを週1回程度でまとめるだけでも、学校と話す材料になります。

② 提出物を「分割して」提出できる形にする

不登校の子どもは、「全部やってから出す」より「少し出してOK」の方が動けることが多いです。

  • 1ページずつ提出
  • 写真提出(ノートの写メ)
  • Googleフォーム等で小テスト形式

など、先生側の負担が少ない形を提案すると、実現しやすくなります。

③ 定期テストの代替(別室・追試・オンライン等)を相談する

「テストを受けられない」が評価材料不足の最大要因になりやすいので、可能なら優先度が高い項目です。
別室受験・保健室受験・時間差受験など、学校の運用でできることは意外とあります。難しい場合でも、単元テストや小テスト、口頭試問、レポートなど代替案があるかを相談しましょう。

④ 教育支援センター等の学習成果を整理する

教育支援センターやフリースクール等で学習している場合は、

  • 学習計画
  • 学習到達状況
  • レポート、作品

などを、機関側に「学校に共有できる形」で出してもらえないか相談するとスムーズです。

学校に相談するときのコツ:聞くべき質問リスト

「成績が心配です」とだけ伝えると、先生も答えにくくなります。おすすめは、次のように“具体の確認”をしていくことです。

まず確認したい5つの質問

  • この学期(学年)の評価は、何を根拠にしますか?(テスト・提出物・授業内活動の比率)
  • 欠席が続く場合、評定はどのように扱われますか?(未評価、保留、学年末評価など)
  • 別室受験や追試、代替課題などは可能ですか?
  • 欠席中の学習成果を成績に反映する際、学校として必要な書類や手続きはありますか?
  • ICT等の学習を出席扱いとする場合、学校の規程や判断基準はありますか?

伝え方の例(そのまま使える文)

  • 「今は登校が難しいのですが、学びを止めないために、評価につながる形を一緒に考えていただけますか」
  • 「家庭学習の記録をまとめています。学校で評価材料として扱える形があれば教えてください」
  • 「定期テストが難しい場合、単元ごとの小テストやレポート等で代替できるか相談したいです」

“お願い”ではなく、“一緒に設計する相談”にすると、学校も動きやすくなります。

Q&A

Q1. 欠席が多いと、通知表は自動的に「1」になりますか?

A. 自動的にそうなるとは限りません。ただ、評価材料(テスト・提出物等)が極端に少ないと、評定が下がったり、評価が難しくなったりする可能性はあります。だからこそ、学校と相談しながら「何を出せば評価できるか」を早めに共有することが大切です。

Q2. 「主体的に学習に取り組む態度」は、不登校だと必ず低くなりますか?

A. 必ずしもそうではありません。主体性は“教室での発言回数”だけで決めるものではなく、課題への取り組み、学習の継続、振り返りなど、根拠となる材料があれば評価に反映され得ます。評価の観点の考え方は文科省の整理にも示されています。

Q3. 欠席中の家庭学習は、本当に成績に反映されますか?

A. 条件や手続きは学校・設置者の判断になりますが、「欠席中に行った学習の成果を成績に反映する」考え方は、2024年の省令改正・告示で法令上明確化され、周知されています。

まずは学校に「どのような形なら反映可能か」を確認してください。

Q4. 出席扱いになれば、内申点も安心ですか?

A. 出席扱いは大きな安心材料になり得ますが、内申に直結するのはあくまで各教科の学習評価(評定)です。出席扱いの検討と、成績評価の材料づくりは、同時並行で考えるのがおすすめです。

Q5. 成績の話をすると、子どもが追い詰められませんか?

A. 追い詰めてしまうケースはあります。特に不登校の背景に「学業の不振」や「宿題の未提出」が関わっている場合、成績の話は強いプレッシャーになりやすいと考えられます。

子どもに話すときは「点数のため」ではなく、「安心して次の選択肢を広げるために、できる範囲で学びをつなごう」というトーンが安全です。相談や手続きは、大人同士で先に進めておくのも一つの方法です。

最後に:成績より先に守りたいもの

不登校の時期は、心と体のエネルギーが落ちていることが多く、「普通にやればできること」ができなくなります。成績評価は大切ですが、回復の順番を誤ると、長期的には学びから遠ざかってしまうこともあります。

一方で、近年は「教室外で学びをつなぐ」制度や考え方が整備されつつあります。欠席中の学習成果を成績に反映する方向性が明確化されたことは、その象徴です。

学校に「評価できる材料がない」と言われて終わりにするのではなく、どんな材料なら作れるかを一緒に考える時代になってきています。

今できる一歩は、たいてい小さいものです。

  • 週に1回、学習ログをまとめる
  • 1ページだけ提出してみる
  • 別室受験が可能か確認する

その小さな一歩が、通知表や進路の不安を和らげるだけでなく、子ども自身の「やれた」という感覚を支えます。

このコラムが、成績評価の不安で眠れない夜に、少しでも道筋を示せるものになれば幸いです。